若煙草
- N.Redding
- 2015年10月8日
- 読了時間: 2分
更新日:2019年10月21日
朝食の片付けを一通り終えて今日は朝からとてもいい天気でした。
キッチンの窓から外を眺めていてふと思い出したこの写真。

この写真は9月の終わり頃に新しい釣り場に出かけようと
田舎をひたすら走っていた時に走っている車から撮影したものです。
畑なのか牧草地なのか真ん中に小屋がぽつんと建っていて
近づいた時によーくみてみると、小屋(ものすごく巨大)の外壁がなく
中には所狭しと何かを干してありました。

おそらくコレは”たばこ”を干しているところだと思います。
夏場のケンタッキーの田舎ではトウモロコシや、大豆畑が青々と広がっていたのを
目にする事が多かったのですが、時折私の背丈程(150cm後半)ある大きな葉をつけ、
薄紫色のきれいな花を咲かせたタバコ畑をみる事が度々ありました。
秋になった今では畑にその姿はありません。
そういえば東京に住んでいた頃人生の友人が昔、子どもの頃に実家で煙草を家で作っていて
収穫の手伝いをした時の話をしてくれた事がありました。
『タバコを刈り取る時ヤニがあるから手が真っ黒になるんだよ。』と言っていました。
タバコの収穫について調べていたら”若煙草”って言葉があるんですね。
意味は収穫されたばかりの煙草の葉の事だそうです。
これを掛け干しにしてよく乾かして煙草を作るそうです。
この言葉は俳句の秋を表現する季語にもなっています。
・たばこ干す山田の畔の夕日かな 其角 「五元集」
・若たばこ軒むつまじき美濃近江 蕪村 「夜半叟句集」
・たばこ干す寺の座敷に旅寝かな 几董 「晋明集二稿」
・わかたばこ丹波の鮎の片荷かな 維駒 「五車反古」
・莨干す壁に西日のよわりかな 正岡子規 「子規句集」

今は禁煙とうるさく言われている世の中ですが煙草を生産している光景が
季節の移り変わりを感じさせてくれる季語なっているとは思いもしませんでした。
”若タバコ”は日本では見る事が出来なくなりつつある風景かもしれないと思いました。
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